国重要無形民俗文化財
異国情緒あるれる諏訪神社の秋の大祭
長崎くんち
モッテコーイ!のかけ声を聞くだけで、心がしびれてしまう私シスタークルスですが、そんな「長崎くんち」の魅力を初心者の方にも満喫していただきたい。そのためにはいろいろな予備知識が必要ということで、改めてくんちのあれこれを取材してみました。各踊町については、左の項目をクリックしてくださいね。
江戸時代初期からの長い歴史を持つ「長崎くんち」(10月7~9日)は、諏訪神社の秋の大祭。“お諏訪様”の一年のご加護に感謝して各町の氏子たちが「演し物(だしもの)」を奉納し、新たなる英気を養っていただこうというものです。10月7日に神様が御旅所に「お下り」になり、9日に再び諏訪神社へ「お上り」になるまでの3日間、長崎のまちはくんち一色に染まります。
「長崎くんち」は全国ニュースで報道されるので「ああ、あの龍踊の…」と記憶される方も多いと思います。が、実は演し物を奉納する氏子町は全部で59カ町あって、その演目も「龍踊」以外に「川船」「太鼓山」「阿蘭陀漫歳」「鯨の潮吹き」などなど異国情緒豊かで趣向も多種多彩。あまりにも町の数が多いということで、江戸時代から全体は7つのグループに分けられ、年ごとの持ち回り制に。だから、7年に一度しか見られない演目もあれば、「龍踊」のように複数町が演じるために頻繁に登場するものもあるのです。
毎年恒例の祭りであっても、各氏子町にとっては7年に一度の晴れ舞台。しかも大勢の桟敷客に囲まれての神前での奉納ですから、演じる側の気概は半端ではありません。特に山車を曳いたり担いだりする若衆は、この日のためにアスリート並みのトレーニングを重ねた精鋭ばかり。その点にご注目いただくと、より深く各町の演し物を楽しめるのではないかと思います。
くんち期間中、市内は大エンターテインメント!
諏訪神社や御旅所など桟敷席が設けられた4ヵ所の「踊場」で見物するには、前売り券購入が必要ですが、奉納をすませた各町はそのまま市中に繰り出しますから、あちらの広場こちらの通りといった具合に、まちなかで披露される演し物は誰でも自由に楽しむことができるのです。長崎市民もそうやって気軽に見物するんですよ。当日はコース表も配布されますのでどうぞご活用下さい。
くんちの正式な稽古始めとなるのは6月1日の「小屋入り」です。その年の踊町の役員や出演者たちが正装して諏訪神社や八坂神社で清祓いを受け、稽古の安全と本番の成功を祈ります。7月に入ると実際の山車などを持ち出して本番さながらの本格的な稽古が始まり、夕刻になるとあちらの町こちらの町から勇壮な掛け声や囃子の音が聞こえてきてきます。仕上がった演技を町内で披露する「人数揃え(にいぞろい)」は10月4日。本番に向けて次第に熱を帯びていく、そんな長崎のまちもなかなかいいものですよ。