平成29年奉納
諏訪神社お膝元の町は奉納一番舞い
馬町 本踊 うままち ほんおどり
長崎くんちは市民たちが親しみを込めて「お諏訪さん」と呼ぶ「諏訪神社」の秋の大祭。馬町はその参道入り口から国道34号(旧長崎街道)沿いに細長く広がる門前町で、7年に1度の奉納ではあでやかな本踊を演し物としています。今回も前回に続いて、6人の女性たちが五穀豊穣を寿ぐ「三番叟」を舞います。 (平成29年8月取材)
「馬町」という町名は、江戸時代にこの町が長崎街道を往来する公用馬を手配する役目を担っていたことに由来します。「ここでは36頭の馬が飼われていたそうです」と自治会長の濱崎芳裕さん。長崎奉行が着任・離任する際も、きっとここ馬町で飼われていた馬が活躍していたんでしょうね。地形には今も段差がありますが、当時は上の段で馬を飼い、下の段に家が立ち並んでいたという記録も残っているそうです。
本踊の題目は「今日爰祭祝三番叟(きょうここにまつりをいわうさんばそう)」。「三番叟というのは要するに五穀豊穣を祝う踊りなんです。くんちはもともと秋の収穫祭ですからね。だから振り付けの中に田植えをする仕草や腰を伸ばす仕草などが組み入れられていますよ」。衣装は踊りのお師匠さんが京都まで行って選ぶそうで、着付け、化粧、かつらなども京都からその道のプロを呼んで本番に臨みます。
馬町はお諏訪さんのお膝元と言うことで奉納の順番はいつも一番。朝7時からスタートです。「神様も男衆の力強い船回しでいきなり起こされるより、女性たちの舞いでやんわり起こされるほうがいいんじゃないですか(笑)」。その6人の踊り手たちは10月の本番に向けて、6月から稽古を積み重ねてきました。ベテランの名取りたちはもちろん、約4カ月以上もの修練の集大成として本番では全員で見事な舞いを披露してくれます。
かつての長崎街道も今は交通量の多い国道となって町を2つに分断している上に、ビルやマンションが立ち並んで、馬町ではお互いに知らない顔も多くなりました。だから7年に1度のくんち奉納は、つながりが希薄になりがちな住民同士が新たな絆を結ぶ絶好のチャンスです。本踊りの後は所望踊りとして子どもたちによるかわいい童踊りが有りますが、その若い親たちが積極的に参加してくれることが町の活性化につながると自治会長は大いに期待しています。
上記は2017年度の写真です。
馬町さんの景観クルス商品はありませんが、馬町さんの記事をお楽しみください。